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BGAデバイス基板のメッキ条件別ハンダボール接合強度試験

1.実験目的と結果

BGA(Ball Grid Array)デバイス基板(キャリア)のメッキ条件を3条件振り、ハンダボールの実装後、HTS(High Temperature Storage:高温放置)での、ハンダボールとランドとの接合強度の経時変化を調査した。

試験方式は下記の3方式でそれぞれ実施した。

・シェアテスト方式《Fig−1》
・常温式バンププルテスト方式(CBPテスト)《Fig−2》
・加熱式バンププルテスト方式(HBPテスト)《Fig−3》

結果は、リフロー直後(イニシャル)では上記各テスト間のメッキ条件別での強度差は見られなかった。しかし、高温放置後にテストを行うと常温式バンププルテストと加熱式バンププルテストではメッキ条件別での接合強度の違いや破壊モードの違いが顕著に確認できたのに対し、シェアテストでは全てが「ハンダボール自体の剪断モード」になり接合強度の経時変化は確認出来なかった。この結果から、製造条件や材料等を変更する事でのハンダボールの接合状態の評価にはシェアテスト方式より常温式バンププルテスト/加熱式バンププルテスト方式の方が適していると判断される。

シェアツール ハンダボール バンププルテスト 加熱式バンププルテスト

 

 

2.試験装置の紹介

高密度実装 接合度評価 常温式バンププルテスト シェアテスト

試験装置にはデイジ社の万能型ボンドテスター「シリーズ4000」を用いた《Fig−4》。このテスタは高密度実装に於ける各種接合強度評価に幅広く使用され、特に常温式バンププルテスト・加熱式バンププルテスト・シェアテスト等が一台で出来る世界で唯一の装置である。

 

 

 

 

 

    常温式バンププルテストのテスト条件  加熱式バンププルテストのテスト条件 シェアテストのテスト条件
  テストスピード:   300um/sec   300um/sec 300um/sec
  設定温度:   室温   270℃   室温
  テスト開始温度:   室温   40℃   室温
  テスト高さ: ----- -----   5um

 

3.実験サンプルの詳細

サンプル構造を《Fig−5》に示す。

ソルダーレジスト リフロー条件 プリヒート 接合強度試験

 

リフロー条件はプリヒート150℃、ピーク210℃。前処理はリフロー3回+125℃/20hrを施してある。このサンプルを用いて接合強度試験を行った。

 

4.接合強度測定結果

4−1:シェアーテストの測定結果

シェアテストでの測定結果を《Fig-6》に示す。破壊モードはイニシャルから高温放置500hr後まで全ラップの全ハンダボールがハンダボール自体の剪断モードとなり接合界面からは破壊しなかった。メッキ条件別に強度差がほんの少し見られるのは、Niがハンダボール内のSnへ拡散する量の違いと推測している。

メッキ条件別 接合強度差 イニシャル 前処理

4−2:常温式バンププルテストの測定結果

常温式バンププルテストでの測定結果を《Fig−7》に示す。イニシャル〜前処理まで「ハンダボール自体のちぎれモード」が発生した。これはハンダ自体の強度が接合界面の接合強度より弱い為、いかにハンダボールを確実にグリップしても接合界面から剥離せずハンダボール自体が先にちぎれてしまう。

48hr以降からはハンダボール内の化合物層が成長しPb偏析層が形成され、その柔らかいPb偏析層とAu−Ni−Sn化合物層の間で剥離された。またメッキ条件別に強度差がハッキリと見られるのはPb偏析層の厚さ及び濃度差によるものと思われる。

メッキ条件別 高温 放置 常温式 常温式バンププルテスト

4−3:加熱式バンププルテストの測定結果

一方、加熱式バンププルテストでの測定結果を《Fig-8》に示す。イニシャル〜48hr近傍まで「基材での破壊」が多く発生するが高温放置の経過時間に従って「Niメッキ層とNi−Sn化合物層間での破壊」となった。この破壊モードからメッキ条件の評価で最重要な接合界面の強度が定量的に測定出来る事の確認が取れた。強度差はメッキ条件によるNiメッキ表面状態の違いによるものと思われる。

メッキ条件別 高温 放置 加熱式バンププルテスト

5.高温放置におけるハンダボールの接合状態の観察

高温放置を行うとハンダボール接合部にどの様な反応が起きるのか考察してみた。ハンダとランドの接合部の反応層の成長過程を以下に示す。まず、リフローを行った場合のハンダ接合部組織形成機構を述べる。リフロー時にハンダ部とNiメッキ層界面にNi-Snの極薄い(1μm以下の)Ni-Sn化合物が形成される。また、Auメッキ層はハンダのSnと反応しやすく、ハンダボールのSnへ拡散する《Fig-9》。

高温放置 ハンダボール接合部 ハンダ ランド リフロー 接合部組織形成機構 Niメッキ層

 

 

熱加速試験である前処理や高温放置の初期においては、Niメッキ層側からNiがNi-Sn化合物層中とハンダ部に拡散しNi-Sn化合物層内及びハンダ部のSnと反応し接合強度が上がる。更に高温放置を行うとハンダの粗大化が進行し、Ni-Sn化合物層が成長する。そのNi-Sn化合物層の直上のSn濃度が上がり、ハンダ内に拡散していたAuが再集合しAuNi-Sn層が形成される。その後、元々その場所に存在していたPbはAu-Ni-Sn層上に排出されPb偏析層を形成すると思われる《Fig-10》

熱加熱 前処理 高温放置 化合 ハンダ部 接合強度 再集合 偏析層

 

BGA/CSPの基板への接合で問題になっているハンダボール脱落不良品の破壊モードはNi-Sn層下部とNiメッキ層の間が破壊している事が多く、その場所の強度が信頼性に大きく影響する。今回の実験で判明した事は加熱式バンププルテストでの破壊箇所は上記のハンダボール脱落不良と同じNi-Sn層下部とNiメッキ層の間から破壊する《Fig-12》。また、常温式バンププルテストではAu-Ni-Sn層とPb偏析層の間から破壊する事が確認できた《Fig-11》。

ハンダボール 破壊モード Ni-Sn層下部 加熱式バンププルテスト Niメッキ層 常温式バンププルテスト Pb偏析層 破壊

 

加熱式バンププルテスト Ni-Sn最下部 高温放置 ハンダ 粗大化 温度印加 加熱プローブ ハンダボール 品質 信頼性 解析

 

 

 

では、なぜ加熱式バンププルテストではNi-Sn層下部とNiメッキ層の間が破壊するのか? これは次の様に推測している。Sn-Pbハンダは高温放置を行うとハンダの粗大化が起こる。その後、加熱式バンププルテストでの再加熱(100℃以上の温度印可時間は約30秒)を行うと粗大化したハンダは元に戻る。Au-Ni-Sn化合物もイニシャル状態に近くなる。また、加熱プローブがハンダボール内でコアの様に補強される。Ni-Sn化合物層は高温放置後の特性(含む厚さ)を保持しており、結果的に一番観察したいNi-Sn化合物層とNiメッキ層の間から破壊するとおもわれる。これは、加熱式バンププルテストの固有のメリットであり、常温式バンププルテストでは観察できない破壊モードである。
この様に、BGA/CSP実装工程の製造・保管、使用条件は温度管理が必要である。また、鉛フリーハンダの過渡期にある現在、ハンダ成分と基板パッドの諸特性が品質・信頼性に大きな影響を及ぼす事は認識されており、関連技術の相互の協力関係が必須である。この様な各種条件別でのハンダボール接合強度の解析・評価に常温式バンププルテスト/加熱式バンププルテスト方式は有効に寄与すると考えられる。


6.まとめ


以上の結果をまとめると、

@BGA/CSPのハンダボールとランドとの接合性試験はシェアテスト方式よりバンププルテスト方式の方が
有意性がハツキリと判定でき、適した方法と思われる。

 ・加熱式バンププルテストはメッキ条件別での接合強度を定量的に把握できる。

 ・常温式バンププルテストはサイクルタイムが速く、量産行程における出荷/受入時のGo/No−Go判定が
素 早くできる。

Aデバイス基板(キャリア)のメッキ条件出しはイニシャル状態でのテストではその有意差が判断しづらい。

B高温放置を行うとプリント基板の接合強度差・破壊モードが判断しやすくなる。(但し、シェアテストでは判断しづらい。)

                                           ― 以上 ―